アジという魚、とにかくコマセに狂う。薄い膜になった漏斗状の口を大きく広げて何百匹という単位でコマセに突入してきて、ダイソンの掃除機ばりの吸引力であっと言う間にコマセを吸いつくす。とにかくコマセを切らさずにアジの群れを船の下に足止めする。船のみんなで共同作業だ。
アジ釣りはチームワークという人がいる。船は船長が魚探で確認してアジの群れがいるポイントに入る。釣り始めの段階で、食い気のあるなしは別にして船下には確実にアジの群れはいる。コマセを巻いてアジを狂わせる(=食い気を立たせる)には船上の釣り人がコマセが途切れないように手返しをし続けるしかない。船の下にコマセに狂ったアジを着かせることに成功すれば船上みんなが大漁モード。逆に群れに去られたら……全員の釣果は寂しいことになる。
東京湾のLTアジ釣りでは指示ダナが底から2メートルのことが多いので、LT用のアンドンビシ(30号~40号、船で貸してくれることが多い)にコマセ(東京湾ではイワシミンチのことが多い)を7分目~8分目詰めて、底まで沈める。底を取ったら1メートルほど巻き上げて大きく竿をしゃくってコマセを振りだす。さらに1メートルしゃくってもう一度コマセを振りだして魚信を待つ。10秒くらい待って魚信がなかったらもう一度底まで沈めて同じように繰り返す。それでも魚信がなければ仕掛けを回収してコマセを詰め直す。回収したコマセカゴにコマセが残っているようであれば、コマセの詰めすぎなので、ちょっと減らす。何度も仕掛けを打ち返しながらアジの群れがコマセに狂うのを待つ。
ほかの人は釣れているのに自分だけ釣れていないというときは餌とタナをチェック。餌はアオイソメとアカタン(赤く着色したイカ)が用意されていることがあるので、3本針の仕掛けなら最初はミックスして付けどちらの餌に食ってくるのかチェックする。タナは結構上下するので、自分だけ釣れてないってときは指示ダナの上下1メートルは探ってみると釣れることが多い。
著者: へた釣り