アマダイ釣りのゲストで釣ったカナガシラと思い込んでいた魚。いざ、料理してみようとして、よく観察すると……なんか違う。ヒレに紫色の模様があり、カナガシラのそれとはなんだか違う。区別する必要はないんだろうけど、カナガシラでないならなんて魚? 調べてみるとカナドという魚だった。
カサゴ目ホウボウ科の特徴は、王蟲のような脚。正確には胸鰭の軟条らしいのだが、左右の胸ビレの付け根辺りから3本ずつ昆虫の脚のように生えている。実際に脚のように動かして海底を歩き、軟条の先端の感覚器で餌を探して食べる。代表魚は、もちろんホウボウ。団扇状の大きなヒレの外縁がコバルトブルーで内側は黄緑色をした非常にきれいな魚だ。生かしたままバケツに放すと、南方系のきれいな蝶の羽のようなヒレを広げてくれるのでなんだかいいもん釣ったなぁ~という気分になる。これが食べても美味しい。刺身にすると歯応えのよい薄くピンクがかった白身。ホウボウを狙う船はないが、底付近を狙う釣りだと水深を問わず結構混じる、釣れると抜群にうれしいゲストの1つである。
ホウボウ科に属するカナガシラ属も3対の軟条を脚のように使うという特徴を持つ。ホウボウとカナガシラの見分け方は胸ビレの色と吻棘の有無。カナガシラの胸ビレは外縁部に少し青っぽい色が付いているだけの赤一色できれいではない。顔前面に吻棘が2本突き出しているため、顔付きがエイリアンっぽい。サイズはホウボウより小さく、30センチを超えることはないように思う。「金頭」という呼び名がお金が貯まるに通じると食用に流通している地方もあるようだが、ホウボウと食べ比べると旨味という点では物足りない。へた釣り家ではお鍋に入れたり、さつま揚げにしたりすることが多い。
で、1月19日のアマダイ釣行で釣ったカナガシラだと思っていた魚。胸ビレが黒っぽい青色をしており意外ときれいだし、形状もカナガシラとは少し違う。尻ビレにいたってはホウボウに負けてないきれいなコバルトブルーをしていた。脚が生えてて吻棘があるので、カナガシラ属に違いないのだが…と思って調べてみると、カナドという別種だった。カナガシラよりさらに小型で20センチくらいまでにしか大きくならない。トラギスやヒメと一緒にすり身にしてさつま揚げにしちゃったので、お味の方は不明。1切れだけでもお刺身で食べとけばよかったなぁ~と後悔するも、時すでに遅しだった。
著者: へた釣り