オニカサゴの身は既に食べきってしまったが、お楽しみは残されている。ヒレ酒である。胸ヒレを十分に乾燥させて、日本酒に入れて飲む。うっすらと茶色くなったお酒から吟醸香に混じって香ばしい出汁の香り。お酒にオニカサゴの旨みが溶け出して絶品のはずなのだが…なかなか難しい。
ヒレ酒なんて軽く炙ったヒレを日本酒に入れれば簡単にできるだろうと考えていたら、思うような味になってくれず大苦戦。日本酒好きなので日本酒の味も楽しめるようにとぬる燗で作るとヒレから香りも味も移ってくれずにただの日本酒に。香ばしさを出そうとしてヒレを焦がしてしまうと苦味が出てしまいこれまた失敗。お店で飲んだことのあるヒレ酒の味になかなかならずにう~むと唸ることになる。炙りは弱火でじっくり焦げないように見張りながら。ぬる燗なんてとんでもない熱燗(60度)どころか超熱々燗(80度)でないとヒレから出汁が出てくれない。蓋をして3分くらい蒸らす。蓋を開ける瞬間にライターで火を点けるかどうかは好みで。個人的にはアルコールを飛ばすという行為がもったいないと感じるので点火せずにそのままいただく。
お酒の話をもう1つ。年末年始の伊豆旅行のお土産に伊東マリンタウンで「伊豆の寿司屋の臼挽き粉茶 極品」という掛川茶を時間をかけて臼挽きした物を購入したのだが、これで作る緑茶割りが絶品すぎてほかの緑茶で作った緑茶割りは飲めなくなりそう。ほのかな甘みがあり、もしかして砂糖入り?と思い原材料を確認すると煎茶のみ。美味しいお茶が甘いものだということを知る。この甘みが焼酎の割り物にちょうどよい。ホット緑茶割りとカイワリのお刺身。伊豆の贅沢な組み合わせである。
著者: へた釣り