年末年始はへた釣り家4人+母で少し贅沢して伊東で過ごした。温泉につかり、料理自慢の宿の板前が腕を振るった料理を楽しだわけだが…最も記憶に残っている料理は、楽味家まるげんで食べた海鮮みぞれ丼だった。それでいいのかという気がするが、2回も食べに行ってしまった。
泊まった宿の料理が不味かったわけではもちろんない。日本料理の修行をした確かな腕の職人さんが作った懐石料理のコースである。食材も高級な物が使われているので文句なしに美味かった。旬の美味しい物が盛られた八寸に始まり、伊豆地魚のブイヤベース風碗物、お造り、牛サーロインの陶板焼きときて、金目鯛の煮付け、穴子の蒸し物まで、どれ一つとして口に合わない物はなく、箸を進めるたびに漏れる言葉は「美味しいね」とばかりだった。
朝、夜は旅館でとるが、昼食は街中でとる。伊東駅前は観光客目当てで正月三が日でも開いている店の方が多く、お店選びには困らない。究極のソウダガツオ料理かもと注目していたのが伊豆は宇佐美辺りの漁師料理であるうずわ飯&うずわまご茶をまとめて楽しめるうずわ定食。楽味家まるげん、まるたかで食べることができる。ソウダガツオ(マルソウダかな?)を叩いた物に青唐辛子を混ぜ、まずはそのまま。お次はご飯の上に乗せて(うずわ飯)、最後にソウダガツオでとった出汁をかけてお茶漬け(うずわまご茶)にして食べる。青唐辛子が味のアクセントになっており、ソウダガツオの出汁の香ばしさも楽しめ悪くはなかった。悪くはなかったがものすごく美味しいはずと頭の中でハードルを上げすぎてしまっていた。水産資源としては価値が高くないマルソウダを漁師の知恵で美味しく食べるという料理である。あまり持ち帰る釣り人はいないマルソウダが一工夫すればリリースせずに美味しく食べられると驚かないとダメだった。
へた釣りがうずわ定食を味わっているとき、子供2号が食べていたのが海鮮みぞれ丼。美味しそうだったので少し食べさせてもらって驚いた。美味い! 伊東滞在中にもう一度店を訪れ、今度は海鮮みぞれ丼を食べることに(子供2号は当然、海鮮みぞれ丼をおかわり)。中伊豆の地卵の卵黄とわさびを溶き、醤油を加えて黄味醤油を作る。丼の上には台地状に地魚タワーが盛られている。ここに黄味醤油を回しかけて食べる。黄味醤油が脂の乗った魚の身とご飯の味がかい離しないように繋ぎ役になってくれている。地魚タワーには数種類の魚や貝などが混ざっており、いろんな味を楽しめるのが飽きない。この丼だけで値段に対して十分どころかもっと払ってもいい気がするが、丼を食べ終わると今度はソウダガツオの出汁を楽しめるようにお茶漬けを出してくれる。ごまダレに漬けられた魚の身をご飯に乗せると熱々のうずわ出汁を注いでくれる。お茶漬けをかきこみながら、伊東に来たら必ずこれを食いに来ると誓う!
著者: へた釣り