船に乗ると納竿後に、船長さんに「今日は何匹釣れました?」と聞かれる。その数で釣果報告をサイトなどにアップするのだが……何匹魚を釣ったのか覚えていないことが多い。「たぶん…××匹」といい加減に応えるしかないのである。その数があまりに船長さんの認識している数と食い違うときは、「もう一度数えてみて」と言われることすらある。
アジの入れ食いなら何匹釣ったかわからなくなったり数えるのを放棄したって人はいると思うのだが、へた釣りの場合……5匹を超えるとあやしくなる。片手で数を数えることを覚えた3歳児並みに数を数えられないのである。最近だとマゴチ。「たぶん7匹」→正解は6匹。「たぶん9匹」→正解は11匹。アジのときなんて「50匹は超えてると思うけど…」→正解は64匹。このサイトに書いている釣果報告は帰宅後、クーラーから魚を取り出しながら数えているので間違いはないが、船の上では全く数が数えられない。どうしてだろう?
船釣りの場合、船上に8時間近くいるはずなのだが、本当に時間が経つのが早い。太陽が出ていればその角度でだいたいの時間を認識できるのだが、曇りだとまだ昼前だと思っていたら「本日、これで上がります」と納竿を告げられたりすることもある。え? 嘘? 早上がり?と思って慌てて携帯電話を見ると確かに時間が過ぎていて驚く。置き竿にすることはほとんどないので、8時間にわたって竿先と手元にじっと神経を集中させているわけだ。熱中症対策で水分は摂るようにしているが、食事もしないし、トイレに一度も行かないなんて日もある。こういう状態を脳がフロー状態にあるというらしい。最高のパフォーマンスを発揮できる脳の状態だというのだが……。
釣りをしているときに使っている(活性化している)脳の部分と、数を数えたり認識したりする脳の部分が別で、へたは下手なりにフロー状態の脳は5以上の数があやふやになるのかも、と思って調べてみたが、釣りの最中の脳の状態に触れている情報が見つからない。数の認識は左脳の頭頂葉で行うのだが、釣っている最中は左脳の頭頂葉が全く機能していないのは間違いない。普段はどちらかという数字に強い方だと思うし、周りからもそう言われる。それが5以上の数字があやふやになるのであるからどうしようもない。今度、カチカチって数をカウントできる機械を買ってきてクーラーの取っ手に付けようかと考えている。
著者: へた釣り