釣るのも好きだが食べるのはもっと好きなので5日間の“待て”は正直つらかった。熟成が進みラードのような脂をその表面にまとったイシダイをようやく食べられた。まずはお刺身で、箸休めに皮のポン酢和え、そしてお鍋。いいお出汁が取れたので、〆は糖質制限解除しお蕎麦をいただく。
イナダだらけでイシダイどこ~?釣行で手にした3匹のイシダイは、釣ったその日のうちにサクどりしてもらってキッチンペーパーに包んで冷蔵庫へ。途中何度かキッチンペーパーを新しい物に換えながらじっと我慢の5日間。ゲストとして釣れたイナダやウマヅラハギを食べて耐えた。やっと解禁。その表面にうっすらと白い脂をまとった白身が出てきた。血合いのピンク色の美しさも手伝って、本当にきれいな身だ。
まずはお刺身で。プニッと歯を少し押し返す弾力があり、口に入れただけで上品な脂の味が広がる。磯の魚だが臭みはまったくない。少し厚めに切るのが好みに合う。日本酒が猛烈に欲しくなったので我慢せずに飲むことに。リリースできなかったイシガキダイも食べた。サイズ不足だったため脂の乗りは今一つだったがイシダイといっしょに食べるのでなければ十二分に美味しい魚だった。
美味い魚の皮は絶対に捨ててはならない。イシダイも例外ではない。引いた皮を軽く湯がいて氷水に取る。細く切ってからポン酢で和える。柚子皮をぱらりと散らす。皮際のゼラチン質のプリプリとした食感が絶品でこれだけで日本酒の1合、2合は楽しめそうだ。皮は串に巻いて塩焼きにもしてみたが湯引きの方が美味しい。
皮とともに捨ててはいけないのが頭や中骨だ。いいお出汁が取れる。マダイよりも野趣があり濃厚だ。中骨や頭で取ったお出汁でお野菜やお豆腐を煮る。これだけでもう十分に美味いが、皮を付けたままのイシダイの身を惜しげもなく投入。ほっこり煮えたらポン酢で食べる。出汁を取ったあとの頭周りの肉を穿って食べる。可食部を一かけらも無駄にせず食べられるのがうれしい。
蕎麦好きなので〆はイシダイ出汁のお蕎麦で。少量の麺つゆをお鍋のお出汁で割る。蕎麦は別にゆでておく。具は天かすと金ごま、ネギだけで十分。お蕎麦がなくなっても出汁だけお代わりし続ける。日本酒ともよく合う。汁物なのでお腹がいっぱいになりやすく、お酒を飲みすぎなくていい。
著者: へた釣り