少し前の飲み会。「最近何釣ってるんですか?」と聞かれて、イサキとは言えずに「ウリンボ」と答える。「ウリンボってどんな魚ですか?」……当然予測しておくべき質問だった。「小さいイサキのことだよっ!」。「大きいのは釣らないんですか?」「うるせぇ! 釣れねぇんだよっ!!」。
当たり前のように25センチ以下の魚を「ウリンボ」あるいは「ウリボウ」と呼んでいるが、当然、こんな呼称は図鑑に載っているわけがなく、「小さいの釣ってごめんさない!」という自嘲をこめた釣り人独特の呼び方である。似たケースが「チャリコ」。マダイの小さいサイズをこう呼ぶ。30センチくらいがチャリコとマダイの境目だろうか? クロダイの30センチ以下のものは「カイズ」と呼び、クロダイを釣った数にカイズを含むとほかの釣り人にちょっぴり馬鹿にされたりする。
よほどの大漁で、クーラーに魚が入りきらないという状況でもない限り、ウリンボだからってリリースはしない。ウリンボフライは絶品なのだ。カイズだって、25センチ以上ならキープしちゃうことが多い。チャリコだけは微妙で、近くの漁業関係者が放流している可能性があるので、針を飲み込んでエラに傷がついたなど特殊なケースを除いてリリースするようにしている。
ほかにもある。カワハギの10センチ前後のものは「ワッペン」。胸に付ければワンポイントにちょうどいいってことで付けられた呼称。10センチ以下のアジは「ジンタ」と呼ぶ。南蛮漬けに最適サイズで、ジンタサイズのアジを専門に狙うキャッチ&イート派も多い。サビキで1日やれば2束くらいは釣れるので、楽しい釣りではある。イシダイの小型は「サンバソウ」、カンパチの小さいのは「ショゴ」。
ジンタのように釣りのターゲットになっているのに、「サイズではなく数狙いです」と宣言するために、呼び名が区別されているのが、シロギスやハゼ。秋に多点針で針数狙いの投げ釣りで釣るシロギスのことを「ピンギス」と呼ぶ。10~13センチくらいのサイズで天ぷらにはいい大きさだ。夏場にボートなどで狙う小型のハゼは「デキハゼ」。その年に生まれ(デキ)たハゼってことだろうか。
で、どうしてこんな話を書いたかというと、聞きなれない魚の名前で、語感がショボい感じがする魚の名前を釣りをする人から聞いたときは、「それってどんな魚ですか?」とは決して聞いてはいけないってことっ!!!!
著者: へた釣り