アカムツは料理屋で食べたことはあった。自分で釣った魚だからか、それとも43センチと料理屋で食べた物よりサイズが大きく脂のノリがよかったからか…とにかく美味かった!! 赤い宝石に例えられる魚だ。相当ハードルを上げて食したつもり。なのに想像のはるかに上を行く美味さだ。
サクにしてから1日、2日は寝かせた方が美味しいというアドバイス通りに、日曜日に釣ったアカムツを食べるのは火曜日まで我慢した。キッチンペーパーの上に身を置いて冷蔵庫にしまった。ときどき確認していたら、タッパーの底には黄色い油が見え始めたので食べ頃だと判断した。まずは、皮を炙って数切れだけお刺身でいただく。クロムツのお刺身がパンチの聞いた分かりやすく美味しい味だとすれば、アカムツは上品で優しい味だった。新世界のワインと旧世界のワインに似ているかも。クロムツは味の特徴が分かりやすい新世界のワイン。アカムツは複雑で繊細で旧世界のワインのようだ。
初日は、お刺身がメインではなく塩焼きにして食べた。ほっこりふわりと焼きあがった白身は最強&最高。焼くことで脂の味をしっかり感じられる。これがくどくはなく、なんていいうか絶妙な旨みになっている。脂は肉(にくづき)に旨と書く。最高の魚の脂とはこうあるべきだというお手本のようなお味だった。
2日目はアラから出汁をとってしゃぶしゃぶにした。プリとした身はあまり火を通さずに軽く表面の色が変わる程度に出汁にくぐらせる。ポン酢をちょっとだけ付けて口に放り込むと。とろける!!!!! とろけるようなではない。本当にとろける。しかも、出汁がこれまた絶品なのである。この出汁を吸った野菜が絶品だった。出汁まで一滴も残さずにたいらげた。たいらげた後で気が付いた。あまりの美味さに食べるのに夢中になって、写真を取り忘れた!!!!!!
3日目は、もう一度炙り刺しに。旧世界のワインのようなと例えたが、熟成によって味が開いていくところもそっくりかもしれない。釣って5日目になると、脂の旨みがさらに増した。何日目が好みかは人によって意見が割れるような気がするが、個人的には2日目より5日目の方が好きかな。残る1/4切れは7日目に食べてみようと考えている。
著者: へた釣り