魚の旬(釣期)を表わす言葉は、季節+釣魚名になっていることが多い。釣りやすい時期でもあり、食べても美味しい時期を覚えやすいので「季節+釣魚名」が定着しているのはありがたい。ちょうど梅が咲き始めたので、梅の時期はどの魚と調べたが、梅+魚の表現はないみたい。
梅の時期。2月から3月上旬にかけては、梅というより、「寒い時期」ってことで「寒××」はたくさんある。有名なところでは寒ブリ。確かにこの時期のブリは脂が乗っていて美味い。「寒ビラメ」もあり。へた釣りに人生初&2匹目のヒラメをもたらしてくれた宇佐美・治久丸の船長は「ヒラメは年中釣れるけど、美味しいのは冬の時期。美味しい時期しかやらない」と言っていた。「寒メジナ」って言葉もあるが、これは餌取りが少なく大型を狙いやすいってことから? 寒い時期の方がメジナも美味しいという人もいるがあまり差を感じない。
そろそろ桜の開花であるが、「花見ガレイ」という言葉もあった。初冬のころに接岸し、出産を終えたマコガレイが再び深場へと落ちていく前に荒食いをするのが桜の開花時期に一致するということらしい。産卵で一度体力が落ちた(身の痩せた)カレイが再び太り始めるってことなので、食べて美味しいに決まっている。桜といえば「桜ダイ」。マダイの産卵時期が桜の開花時期と同じであるため、脂が乗っていて美味しいということらしい。冬~桜の開花時期までのマダイの身が桜色をしているからという説もある。
ほかにも、梅雨の時期に脂が乗って美味しいといわれているのが「梅雨イサキ」。マゴチは、カンカン照りの真夏に旬を迎えるので「照りゴチ」と呼ばれる。逆に旬でない魚を表現するのが「猫またぎ」という言葉。「猫ですらまたいで喰わない」ってことらしい。よく聞くのが「夏のヒラメは猫またぎ」。やっぱり夏場のヒラメは不味いのか? 「冬のスズキは猫またぎ」って言う人も。「猫またぎ」は、ほかに美味しい魚があれば、わざわざ喰う必要なしってことで、地方によってバリエーションがあるようだ。北海道には鮭が「猫またぎ」になる時期もあるらしい。
著者: へた釣り