1週間は寝かせろ!というアドバイスをもらったが我慢できずに熟成6日目から食べ始めたアカムツ。白身のトロと称される脂たっぷりの身、中骨や頭から取れる濃厚でクリーミーとさえ感じられるお出汁を満喫中。もったいないので夕食毎に少しずついただいているが、毎日が高級料亭気分♪
アカムツを含め深海にいる魚は大きくなればなるほど脂の乗りがよくなって美味しくなる。アカムツ両手にドヤっドヤっ顔釣行で釣った、自己最大サイズの45センチには期待せずにいられなかったわけだ。期待を裏切らないのは当然として、膨らみ切った“白身のトロ”妄想の上をいく美味さだった。同じ日に釣った30センチのレギュラーサイズのアカムツと食べ比べるとその差は歴然。大きなアカムツを選んで釣る方法をなんとか編み出せないものかと本気で考え始める。
アカムツの食べ方でこれこそが最高と考えているのが塩焼き。1日に食べられるサイズの切り身に軽く塩をしてグリルで焼くだけ。調理になんの工夫もしてないが、これがもうびっくりするほどに美味い。ふわっとろっと焼きあがった身は、甘い脂をまとっており、口に運んだ瞬間にまずは至福の第一撃目。歯を立てると抵抗もはらりと崩れる。皮際のとろとろの部分からさらに旨みが広がって至福の第二撃。咀嚼する必要もなく口の中で蕩けて消えていく身からは旨みの余韻が長く続き、これが至福のとどめ。一口ごとに至福の波状攻撃を楽しめるのであるからこれはたまらない。塩焼き最強魚の不動の1位はアカムツだ。お皿に残った脂を舐めとりたい衝動にかられるがさすがに行儀が悪いので我慢している。
お刺身は炙りでいただく。皮側を炙って皮際の脂をとろとろにして食べると、白身のトロと呼ばれる理由がすぐに分かる。舌の上に置くと体温で脂が溶け出し旨みが口いっぱいに広がりだす。クロムツに似るがクロムツの炙り刺しが脂のパンチがガツンときて「どやっ! 美味いやろ!!」と主張するのに対し、アカムツの炙り刺しはもっと上品で気取ったイメージ。「おいしおすか、味わっておくれやす」(※京都弁おかしかったらごめん)とくる。高級料亭(行ったことないけどw)気分を味わえちゃうわけだ。
頭と中骨からはいい出汁が取れる。身は塩焼きやお刺身で食べたいので、取った出汁で豆腐や野菜を煮てお鍋にしている。夕食が1人のときは小鍋で湯豆腐に、家族一緒のときは大きな鍋で寄せ鍋にして楽しむ。アカムツから取れる出汁はとにかく濃厚で、出汁に対する表現として正しいかどうかは自信がないがクリーミーといってもいいほど。灰汁を取りながら1時間ほど煮だすと、豚骨スープのような出汁が出来上がる。これで煮た豆腐と野菜だけで贅沢なお鍋ができる。一度、我慢できずにノドグロ出汁の煮込みラーメンを作ったが塩、胡椒で味を調えるだけでびっくりするほどに美味かった。一度としてお出汁が鍋に残ったことはなく、毎日飲み干している。
著者: へた釣り