宇佐美・治久丸の「カイワリ、イサキ五目釣りは全て2本針でお願いします」に困ったなぁと書いたところ、木部船長からSNSで説明をいただいた。「厳守ではな」く、船長からのお願いという感じ。ウィリーでカイワリを狙えなくなるという危機は回避されたが…いろいろ考えさせられた。
治久丸は、船釣りに大ハマりするきっかけを作ってくれた船宿だ。このブログを始めたのも未知の魚であったカイワリのお刺身の美味さに驚愕したから。最初のエントリーは「治久丸のカイワリ五目 ~電動リール&ビシカゴ初体験~」だったりする。腰の落ちつかない人なので、あれこれ新しい釣り物にも手を出すが、へた釣りにとって釣りの2大テーマは「尺級カワハギを1日に3枚釣る」「ウィリーで魚をたくさん釣る」の2つだ。カワハギでもウィリーでも「そんなにあれこれ余計なことをしなくても」と名人さんたちから呆れられながら愚策を練ってきたしこれからも練る。他人とは違うことをするのが、オタク気質の多動性中年の釣りの楽しみなのである。へた釣り印のウィリー仕掛けもそんな試行錯誤の末に行きついた。似た市販仕掛けはない。釣れれば自分の仕掛けこそが最強と大喜びし、ダメなら新たな愚策を投入する。そうして少しずつ改良してきた。
木部船長からは針数を2本とお願いした理由を「毎年どのお魚も少なくなって 来てるみたいで 将来の子供たちにも 美味しいお魚を食べてもらいし 釣りも楽しんでもらいたいから」と説明された。正論すぎて反対はできない。個人的にはという但し書き付きならば、宇佐美沖で釣りすぎなんて釣果を得たことがあるかというとあまり記憶にない。カイワリをツ抜けした経験なんてわずかに3回。自己最多だって17匹で入れパクの経験はない。1釣行あたりの平均釣果は確実に5匹を下回る。針数減らさないと魚の生息数が減るという船長の懸念はへた釣りに限っては…悲しいことに、全く当てはまらない。ウィリーへの反応が悪い日には実質、先針のオキアミ一粒で釣っている。オキアミにしか魚信がないから空針仕掛けに変えることは滅多にない(用意した仕掛けが切れたときだけ)。オキアミの仕掛けに変えて1匹、2匹たくさん釣るより、ダメでも強くシャクってリアクションバイトを誘発させるウィリーで釣る方が個人的には楽しいし、いい運動になる。
治久丸のカイワリ五目はオキアミ餌で釣る人がほとんどでウィリーで釣っている人は少数派。針数を2本にという木部船長からのお願いも空針で釣っている人に向けてのものだと思われる。ウィリーはある程度密集した位置にウィリー針を配する方が魚を寄せる。密集させたいがために枝ス長は5センチから長くても8センチまでと短くしてある。市販のウィリー仕掛けとは発想が違う。5本もいるのかと言われると、「5本針だとイメージ通りの釣りができるし、海の状況を掴みやすい」と答えるしかない。ウィリーはこれまで通り5本針で、空針仕掛けは船長の希望通り2本針で作る。治久丸の釣り客は釣果にカリカリしない人が多いのでまずないとは思うが、船上で「どうしてあいつだけ針5本も使ってるの?」という雰囲気になったら、ウィリーで出船している船を探すしかない。思い出の多い船宿なのでそうなりたくはないが……。
著者: へた釣り