昔、食通ぶった人に「ぶさいくな魚ほど美味い」と言われたことがある。オニオコゼなどはなるほどと思う。ミドリフサアンコウもぶさいくな魚だが、グロテスクな皮を剥ぐと現れる白身は、お鍋やから揚げにすると高級魚アンコウとそん色ないほどに美味であるらしい。食うのに勇気はいるけれど。
ミドリフサアンコウの写真を撮っていると、以前、この魚を釣ったことがある人が「食ったら美味かったよ」。え~~~~~っ!! よく食おうという気になったなと驚く。それ以前によく持って帰ろうという気になったものだと……。たぶん、その人はミドリフサアンコウは食えるし美味だってことを知っていたんだろう。知らずに持ち帰り食ったんだとしたら、食の冒険者すぎる。へた釣りは食い意地が張ってるせいで死んだ人になるのは嫌なので、無毒とされるフグも持ち帰らないようにしているが、ミドリフサアンコウの食味は大変評判がよいので、何かの間違いで釣れたら持ち帰って釣り物のあんこう鍋に挑戦してみようと決めた。
驚くべき情報がもう1つ。「ツノザメ、美味しいそうです♪」。ミドリフサアンコウを食ったという話以上に、え~~~~~~~~~~っ!!である。ただし、教えてくださった方もそう聞いただけで実際に食べたわけではない。調べてみると、東北地方、特に青森ではフライや煮付けにして普通に食べられているものらしい。関東にも棒ザメという身を下ろした状態の物が売られている。食べられているのはアブラツノザメという種類だが、胸ビレの縁が白いという特徴が一致しているので、へた釣りが釣ったのも食べられるアブラツノザメのようだ。今度釣ったら持ち帰るかというと……たぶん持ち帰らないし食べない。だって、こいつ目つきが悪くて、食べたら祟りそうなんだもん。
著者: へた釣り