船酔いの対策は、釣行前日に暴飲暴食を避け、よく睡眠をとるようにと書かれている。暴飲暴食は自制するとしても、お仕事をしていると睡眠時間はままならないものだし、どれくらい船が揺れるかも予約した時点では分からない。酔い止めの薬は多々あれど、眠くなって困るものが多い。
初めて船釣りをしたのは、小学校4年生のとき、旅行先の三重県で小型のボートに父親と一緒に乗った。竿は使わず、直接ハリスを持っての釣り。カマスやアジが入れ食いした記憶があるのだが、釣った魚よりも記憶に残っているのが船酔いの辛さ。釣り始めて30分もしないうちに嘔吐。船の上で寝転がって我慢できなくなったら船べりまで這って行って嘔吐の繰り返し。いっそ殺してくれぇ!ってほどに苦しかった。船を降りたあとも半日くらいぐったり。
そんなわけで、釣りは好きだが二度と船には乗るものか心に誓っていたのだが、一昨年、師匠からカワハギに誘われると、船酔いは怖い、でもカワハギ釣りたい……心の天秤がカワハギ釣りたいの方に大きく傾いたものだから、船釣りにチャレンジすることになった。最初の船は、トラベルミンという薬を飲んで乗った。なんとか船酔いはしないですんだのだが、副作用として強烈に眠くなる。竿を持ったまま寝落ちしそうなほどに眠い。
二度目の船は北海道の師匠に誘われた釧路港でのロックフィッシュ。船が苦手だと伝えてあったし、酔い止めの薬は眠くなってかなわないとも告げてあったところ、北海道の師匠がくれたのが森下仁丹の「ポード内服液」という酔い止め薬。これが、体質にも合っていたのか実にいいのである。酔わないのはもちろんのこと、眠くもならない。15メートルの強風でうねりまくって波の高さは3メートル。船が波の上で飛び跳ねて船中が船酔いしてぐったりしている人の死屍累々となっても、へた釣りはポード内服液さえあれば平気なのである。
船酔いする体質で、酔い止め薬は欠かせない。でも、薬飲むと眠くてたまらないという人は是非一度、ポード内服液を試してみてほしい。唯一の欠点は北海道ならよく売られているのに、東京近郊ではあまり売られていないこと。
著者: へた釣り