味覚なんてもの気分の影響を受けるに決まっている。2022年の釣り納めで釣った人生最大53.5センチのアマダイを年末からお正月にかけて、炙り刺し、酒蒸し、そしてお正月のお雑煮で少しずついただいた。アマダイらしい身のやさしい甘味がしっかりと感じられて人生最高に美味かった。
釣ったその日は炙り刺しで。アマダイは火を通した方が身の甘味が引き立ってより美味しくなることは承知しているが、釣ったその日くらいは歯を弾きかえすようなプリプリとして食感を味わいたい。皮際の脂を味わいたいのでバーナーでしっかりと炙って。わさび醤油では身の甘さを殺してしまうので甘みを引き立ててくれる上質のお塩を身の端にほんの少しだけ付けて食べる。大きなアマダイは皮の厚みがあるのでもう少ししっかり皮を焼くくらいのつもりで火を入れた方がよかったかも。
アマダイの食べ方で一番好きなのが酒蒸し。昆布(へた釣り家の昆布は北海道の師匠からいただいた羅臼産)の上に身を置いて、日本酒をしっかりと振って蒸す。ほっくりと蒸しあがった身は箸を入れるとほろりと崩れて身の持つ甘みが口中でパッと広がる。酒蒸しと並んで美味いと思うのが兜焼き。普段は頭も酒蒸しにすることが多いが今回は身の量が十分にあるので焼いた。目の下や頭頂部、頬に胴体以上にたっぷりと旨味を蓄えた身がある。アマダイは頭を捨てては絶対にいけない。といっても40センチを超えないと食べられる部分はわずかしかないが……。
お餅を食べ過ぎると血糖値が上がってしまうので、お餅は1つだけ。お雑煮のおかわりはお餅の代わりに紅(皮あり)白(皮なし)に焼いたアマダイの身を入れる。へた釣り家のお雑煮は関西風の白味噌仕立て。西京味噌で作る味噌漬けで美味しいアマダイなので、同じく西京味噌で作る白味噌のお雑煮との相性は抜群である。具はほかに人参、八ツ頭、大根と柚子皮を少し。
著者: へた釣り