新年会続きで家で食事ができずにいてようやく初釣りで釣ったオニカサゴの鍋を食べられた。鍋の中からいかつい顔をしたオニカサゴの頭が睨みつけてくる、名付けて「鬼の形相鍋」。頭は骨をしゃぶるようにして極上の頭肉をいただく。皮、胃、肝、鰭まで美味で毒棘以外捨てるとこなし。
頭と中骨は一度湯に通してきれいに洗う。これを大きめの土鍋に入れて最低30分、できれば1時間ほど煮ると極上のオニカサゴ出汁が出来上がる。具材は豆腐、白菜、シメジ、椎茸。オニカサゴ出汁で煮たお野菜だけでもう至福のお味。少し煮崩れ始めたオニカサゴの頭が鍋に浮かぶ様はインパクト抜群。皮を付けたままの身を頂いたら、最後に頭の部分の骨をしゃぶるようにして食べる。美味しい魚は皮(皮際)と頭肉にその真価がある。プリプリとした白身は当然美味だが、ゼラチン質を多く含んだ頭周辺の身は滅多に食べられないので釣り人冥利だ。
出汁はラーメンを作って最後の一滴まで無駄にはしない。味付けは塩と胡椒だけで十分だ。胃袋(食道?)はよく洗って軽く湯がく。ポン酢とネギを混ぜて和えると、酒飲みなら嫌いな人はいないであろうコリコリとした珍味が出来上がる。忘れてはいけないのがキモ。酒で軽く表面を洗って、ラップに包んで蒸すとあん肝ならぬおに肝が出来上がる。釣りたてだというのもあるだろうが、居酒屋などで食べることができるあん肝よりも味が濃厚で遜色ないどころか完全に上をいく。胸鰭は干してヒレ酒に。軽く炙って熱燗の中に入れる。お酒というより鰭出汁スープとして楽しむものなので、熱燗超えの飛び切り燗で、さらに蓋をずらした瞬間にライターで火をつけてアルコールを飛ばして飲む方が美味しい。
著者: へた釣り