リリースすべきか、キープすべきかで悩む魚の1つがマルアジだ。美味しくないわけではない。かといって美味しいわけではない。オカズは十分だなってときはリリースするし、足りないときはキープすることが多い。マルアジの美味しい食べ方をイサキ船の上乗りさんに教えてもらい試してみた。
その日はイサキが61匹釣れたので、本来ならマルアジはリリースとなるはずだったのだが、リリースするにできない状況に。巻き上げ中に隣の人とオマツリし、オマツリを解きにやってきた上乗りさんに取り込んでもらった。これだけなら「いい型だけどマルアジじゃね」とリリースする余地はまだあったのだが、オマツリ相手が「でっかいアジでいいなぁ」とつぶやく。「あげますよ」と言うのは相手のプライドを傷つけるかもしれない。「マルアジなんていらね」と放り投げると、上乗りさんもオマツリ相手も気分がよいとは思えない。……バケツに入れるしかなかった。
その後、船中、マルアジが釣れ盛る時間帯があったが、コマセを絞りまくっているへた釣りはマルアジを釣らずにイサキだけを拾っていけた。上乗りさんが「マルアジばっかだな~」と言ったので、リリースできるチャンスかもと話に乗っかる。「マルアジってあまり美味しくないですよね」「こいつは一度、冷凍してから干物にすると美味いんですよ。理由はよく分からないんですけど、騙されたと思って試してください」……リリースするのは諦めた。エラを切って血抜きする。
背開きにしてから1日冷凍庫に。マルアジから出た水分が身の表面で凍っている。解凍してから水気を拭き取り、あとは通常の干物作りと同じ手順。30分ほど塩水に漬けて、干す。今回はゲリラ豪雨が怖かったので「ピチット 一夜干しシート」を使って、冷蔵庫干しにした。本当に冷凍しただけで美味くなるのかと半信半疑で食ってみると、確かに!! 普通に干すよりも味が濃縮された感じだし、身のパサパサ感もなくなった。湾奥の金アジには勝てないが、口の中の黒いアジとならそう変わらない味かも……。
著者: へた釣り