推しは剣崎でしょ、と沖の瀬に塩対応されてしまい…で沖の瀬で釣った尺イサキより剣崎沖で釣った20センチくらいのイサキで大喜びしている姿を奇異と感じた人もいるだろう。イサキにはおらが釣り場の魚が最高って釣り人が多い。へた釣りも松輪の根のイサキはハズレなしと思ってる。
東京湾から出撃するとイサキというと剣崎沖、松輪の根が主戦場となる。初めは同じ魚なんだからどこで釣ってもそうそう味なんて変わらないだろうと思っていたが、船長や周りの釣り人から「剣崎のイサキはウリンボサイズでも脂の乗りが抜群で最高」と言われ続けるとだんだんそんな気がしてくる。剣崎沖のイサキは小さくても脂が乗っていて、半身をそのまま刺身にして食べると最高と感じるようになってしまった。
イサキは初島沖でも釣ったことがある。初島沖の釣り人は「利島辺りまで遠征すればイサキなんていくらでも釣れるけど、脂の乗りが全然違う。初島沖のが最高」と言っていた。剣崎でも初島でも不思議と「外房のイサキはいただけない」という話を聞いていたので、外房でイサキを釣ってきたという人に「外房のイサキは脂の乗りがよくないって本当ですか?」と聞いてみたところ、はっきりそれと分かるくらい嫌な顔をされたので、外房の釣り師は外房のイサキこそが美味いと信じているんだと思われる。
先週は洲崎沖のイサキを、今週は沖の瀬のイサキと剣崎沖のイサキ(鰭を切って識別できるようにして持ち帰った)を食べたわけだが……正直に書くと味の違いはよく分からない。どれもほどよく脂が乗っていて、お刺身でいただくのにちょうどよかった。ただ、イサキは群れによって脂の乗りに著しい差があるのではと感じることがある。お刺身サイズの良型のイサキでも、あれ?こんなもん?と少し物足りなく感じることもあるし、ウリンボサイズでも旨みたっぷりで絶品なこともある。松輪の根に居着いて、毎日アミコマセを食べているイサキは小さくてもハズレないという気はしている。待望の剣崎沖イサキのお刺身とこれまた1年間待って手に入れた文佳人 夏純吟 うすにごり生を楽しみながらイサキのお味についてあれこれ考えた。
著者: へた釣り