魚の体内なんて小学生のときにフナの解剖でしか見たことなかった。魚には浮き袋はあるものだと思っていた。釣りをし始めると水圧の変化に強いとされる魚の多くは浮き袋を持っていないってことに気付く。底生魚には浮き袋は不要だと思われる。なのにどうしてカサゴには浮き袋がある?
浮き袋はその中にガスを貯めておき、水中での浮力を調整するのが主な役割。体の浮力を調整する必要がないアイナメやヒラメなどには浮き袋がない。またこの時期の中深場でのターゲットであるオニカサゴにも浮き袋がない。海面近くまでよく暴れ、小型の(25センチ以下はリリースがルール)物が釣れたときも海に放すと元気に泳いで帰っていく。同じカサゴ目に属する魚なのに浮き袋が大きく水圧の変化にとことん弱いのがカサゴだ。2月1日に東京湾で解禁となるメバル釣りで小型のカサゴがよく釣れる。そのまま放すと海面に浮いてしまうし、あとでエア抜きしようとバケツに入れておくとすぐに弱って死んでしまう。かといってその都度エア抜きをするのは非常に面倒という、実に困った魚である。
ここで疑問なのは底性魚でしかも遊泳性がほとんどないにも関わらずどうしてカサゴは浮き袋を持っているのかってこと。オニカサゴのように浮き袋がなくても何の問題もないはずなのに……。浮き袋の働きには浮力を得る以外に聴覚を補助する、音を出すなどがあり、カサゴの浮き袋はどうやら音を出すために使われているようだ。カサゴは胎卵性の魚なのでメスの胎内にオスが射精を行う。そのときの求愛行動に浮き袋を震わせて出す鳴き声が使われているとするとなかなかロマンがある。身の危険を感じたときにもグーグーと鳴くそうだ。周りの仲間に危険を伝えるため? 針掛かりした瞬間にも鳴いてるんだろうか?
著者: へた釣り