へた釣りがやっていることも達人さんから見れば何やってんだ、あいつ!ってことが多々あると思う。だから他人のやっていることに文句を言いたくないし、実際に船上で文句を言うこともないんだけど、吹き流し仕掛けのときは錘やビシをちゃんと手で掴もうよ。横にいると怖いんだよぉ。
1人だけそういう人がいたのではない。夏休み期間中で船釣り初挑戦の人が多かったせいか7月、8月に3人(うち1人は酔っぱらい)そういう人に出くわした。どうした理由か定かでないが、そういう人は決まってへた釣りのすぐ横にいるのである。錘やビシを掴まずにどうやって魚を取り込むのかというと、そのまま抜き上げようとする。何度かは上手くいっていたが……魚とともに錘やビシが宙を舞う。魚がバレれば錘やビシと仕掛けだけが勢いよく宙を舞うことになる。横にいて怖いかと言うと、猛烈に怖い。風に吹き流しの仕掛けが漂うのはよくあることだが、それに錘の重さが加わると何かの間違いで凶器になる。ビシに残っていたコマセまで撒き散らすので不快でもある。
へた釣りは人見知りをする。見知らぬ人の害意が怖いんだと思う。だから船に乗ったら両隣の人に必ず「下手くそなんでよろしくお願いします」とあいさつをする。あいさつを返してくれた人は害意がないと判断する。返してくれない人は、いないことにする。もともと知らない人と話すのが苦手なのでいないことにすると楽だ。でも、いないことにした人に限って…………錘とかビシを振りまわすんだよぉおおお。船長が何度か注意してくれたこともあった。でも、船長の言うことも聞かないんだよぉぉおおお。結局、船長も「ケガをするまで分からないんだな」と匙を投げた。船長、それ、違う!! ケガをするのは当人ではなく、僕なんだよぉぉおおお!!!
著者: へた釣り