春の嵐で東京湾に強風が吹き荒れる日が続いている。海は大時化で、明日も早々に出船中止を決めた船が多いのだが……その翌日は「時化後の荒食い」に期待していいらしい。一方で、ここ数日の釣果には「底荒れして撃沈」と報告されていることもあり混乱する。二律背反してない?
時化後の荒食い、その宣言通り爆発することがあるのはカワハギで確認済み。時化前までいろんな根に分散していたカワハギたちが海荒れの影響を受けにくい深場のポイントに集まってくるという傾向があるらしく、時化の翌日に時化前に比べて釣果が倍以上に伸びたことがある。アジでも時化の翌日はいい思いを何度かした。もともと少し海が荒れていた方が釣果が上抜く魚なので、時化で少しウネリが残った海の方が活性が高い。「風によって海水が撹拌されてアジが群れている底の方まで酸素がいきわたるので、活性が高くなる」という話を品川・中金の船長に教えていただいた。
一方の底荒れ。海が荒れて、海底の砂やゴミが舞い上がった状態のことを言う。底荒れすると全く口を使わなくなると言われている魚の代表がシロギス。浜から投げ釣りをしていて、後から来たベテランさんに「釣れんだろ」といきなり指摘された。「これだけ底荒れしてるとキスは口を使わないよ」。確かに1匹も釣れなかった。底に棲んでいる魚は全部釣れなくなるのか?というと実はそうでもないらしく、マゴチやヒラメは時化後の底荒れ時に食いが立つという情報もある。底荒れして視界不良になった海では逃げる側より襲う側が有利ってことだろうか? と思うと、この数日のマゴチ船で「底荒れ気味のせいかアタリ少なく」という報告もあるのでよく分からない。
時化後に変わった釣れ方をするような気がするのがメバルだ。海が濁った状態だと、昼間でも活発に餌を追うようで、まさに時化の翌日にメバル率8割超でクーラーが金色に輝いた!!となったわけだ。ところが、メバルの活性が本来上がるはずの夜は、さっぱり食いが立たないという傾向が……。昼間にお腹いっぱいになって夜はお休みなのかな? 時化後の夜メバルだと「底荒れし濁っているので勝負は日没まで」ってこともあるそうなので、時化後の昼メバルは荒食いで、夜メバルは底荒れで撃沈?
時化前の荒食いが当てはまる魚もいるようだ。まだ海が荒れ始めてはいないが、低気圧が接近してくると、しばらくご飯が食べられなくなるかもしれないから今のうちに食べちゃおうとする魚たちだ。マダイやタチウオなどに時化前の荒食いが発生すると言われているが、船宿のサイトに「時化前の荒食いでチャンス!」という記述をあまり見かけたことがないのはどうしてだろうか? 時化後の荒食いはウネリが残るのを嫌って釣り客が減るのを食いとめるための謀略説がまたも頭をよぎったりする。
著者: へた釣り