魚には土地土地の呼び名がありその由来は調べてもよく分からないことが多い。大阪滞在中に1杯だけと寄った赤垣屋という立ち飲みに、「山かれい」なるメニューが。焼いたり揚げたりして食べるらしい。店員さんに「魚のカレイなの?」と聞くと「魚の種類です」とのこと。その正体は?
イノシシの肉のことを4つ足を食べる文化がなかったころに山クジラと呼んでいたことを知っていた。山カレイは初耳。わざわざ店員さんに「魚なの?」と聞いたのは、陸棲のカレイのような何かかもと勘繰ったから。魚のカレイの1種と特定できればその正体を突き止めやすくなる。検索すると簡単に見つかった。山陰地方でヒレグロというカレイのことをヤマガレイと呼ぶようだ。その名の通りヒレが黒いカレイで全長45センチほどになる。身が薄く少し水っぽい身質なので干物に加工されることが多いようだ。たくさん獲れるので安価でそれでいてまずまず美味しいカレイのようだ。
但馬など山陰地方でのカレイの呼び名を調べていると、干物にして絶品なソウハチカレイのことをエテカレイと呼ぶことを知る。関西でエテといえば猿のことである。ソウハチカレイは北海道で何度か釣ったことがあるが、猿を連想させるような要素は何もなかった気がする。ヒレグロも写真で確認しただけだが、山につながる要素は何も見つからない。但馬の方言で「えて(いて)」、「やま」について調べてみたが目ぼしい情報には出会えなかった。漁師さんにしてみれば、ずっと昔からヒレグロはヤマカレイ、ソウハチカレイはエテカレイと呼んでいたので、由来なんて興味ないし知らない。そのまま近畿へ魚を卸していたら呼び名まで広まったってことかな。
著者: へた釣り