釣りの引きだしは多いに越したことはない。ほかの釣り方では魚信がないけど、別の釣り方なら釣れる可能性ありというときに、引きだしのあるなしによって釣果に歴然とした差がつく。伊豆でのイサキ釣りで落とし込みという誘い方をしている人だけがイサキをゲットできた日があった。
落とし込み釣法ができた人だけにイサキの魚信があったのが、宇佐美沖ウィリー五目の第2戦。へた釣りはウィリーでイサキを狙っていたので、50センチ刻みにスローに誘い上げていくという釣り方だった。針掛かりしたのは、タカベとスズメダイのみ。本命のイサキは顔を見ることができなかった。船中誰も釣れていなかったのなら納得もいくのだが、ご一緒させていただいた釣り(特にカワハギ)名人さんがすぐ真横でイサキを釣っているのを見てしまうと……。
釣り(特にカワハギ)名人さんがやっていたのが、落とし込みという釣法。ハリスを6メートル取り、ドラグを緩めてゆっくりゆっくり仕掛けを落としていって、上から落ちてくる餌に反応するイサキに口を使わせるという方法だった。ときどき短く電動でリールを巻き上げている音も聞こえたのだが、電動でシャクってコマセを振り出していたのだろうか? ForceMaster1000MKHDはこの釣り方に最適なリールらしいのだが、もう1台電動リールを買う余裕はないので、通常のリールで落とし込みをやる方法を調べてみた。
落とし込みのコツは振り出したコマセ(=魚からは捕食対象の群れに見える)から弱った餌が沈んでいく様を演出する(コマセの沈下速度より少しだけ速く落とす)ことにあるようだ。基本は置き竿にして道糸を手で少しずつ引きだして落としていく方法。10秒かけて1メートル糸を引き出すようにしてゆっくりゆっくり仕掛けを落としていく。この方法はドラグの調整の必要がないため魚信があってからアワセるまでの動作がスムーズなのが特徴。一方でスプールを指で押さえながら少しずつ糸を引き出すという作業が少し面倒だ。
もう1つの方法はドラグを緩めて波の揺れに合わせて少しずつ糸が出ていくように調整して魚信を待つという方法。ForceMaster1000MKHDなら緩めたドラグをハンドルを巻くだけで一気に適正なドラグに締め直せるが、通常は魚信があったらスタードラグを締め直してからアワセることになる。落とし込み釣法は、マダイだけでなく、イサキやイカ釣りでも有効な局面があるらしい。誘い上げてもちっとも魚信がないときに一度、試してみようと思う。東京湾のイサキの開幕(6月1日)が待ち遠しかったりする。
著者: へた釣り