「最近釣りに行きすぎなんじゃない?」と、妻に釘を刺される。ほぼ毎週末釣りに行っているのであるから、よく釣りに行っているのは事実だが、もっと釣りに行きたいわけで、「行きすぎ」ということは断じてない。幸せな釣り生活のためにはこれ以上の軽油の値上がりと増税だけは勘弁!
車を持っていないへた釣りの場合、東京湾の釣りはどうしても船釣がメインになる。そもそも陸っぱりから釣りしてOKな場所が近場に少ないのと、陸っぱりからはあまり釣果を望めないからだ。一度、よく釣れる堤防に連れて行ってやると言われて付いていくと、立入禁止の看板を無視して、鉄柵を乗り越えてというとんでもない場所だったので、釣らずに帰った。乗合船の乗船料は1日船だと8000円~1万円くらい。それが月4回以上だと、「最近釣りに行きすぎなんじゃない?」と口をとがらせる妻の気持ちは分からないでもない。
毎週末の釣行は既に既得権化しているので、なんとしても継続したい。不安なのは軽油の値上がりと所得増税。乗船料が上がったり、手取りの収入が減れば、妻に既得権を奪われる可能性がある。軽油の値段の推移を調べてみたのだが、2004年には80円台だった価格が2008年には170円近くまで高騰し、この年に乗船料を値上げする船宿が続出した(当然だが一度上がったら値下げはない)ようだ。その後も120円前後をうろうろ。2011年は中東の情勢悪化で130円台から落ちない。
船宿の経営で、人件費や船の維持管理費は固定費なので、変動費はほぼ燃料代だけ。船を1日動かすとどれくらいの軽油を必要とするのかは分からないが、軽油の価格の変動は船宿の収支に直結する。2008年の急騰に比べれば、まだ乗船料値上げの域にはないが、サービス割引を廃止したり、これまでより近場にしか行ってくれなくなったり、最低出船人数が増えたりというケースが出始めている。世界同時株安で行き場をなくした投機マネーが石油商品に流れ込まないことを祈るしかない。最近の値動きを2008年の価格急騰前夜に似ているという指摘もあり不安は募るばかりだ。
復興財源の捻出とやらで増税議論がかまびすしい。復興のためには増税も止むなしという世論に乗っかり、復興熱が冷めたあとも一度制度化してしまえば取っぱぐれが少ない法人税と所得税を上げちゃえという実に官僚らしいロジックで増税を断行しようというのであるからこの国は恐ろしい。40代のサラリーマンの給与は四公六民。ただし、消費税や社会保障費などを入れれば五公五民というのが実態に近い。さらなる増税となると、稼いだ金の半分以上を国に納めろということ?
「釣りバカ日誌」のハマちゃんが、釣り餌代を確保するために、労使交渉で大活躍するという話があったが、交渉の余地もなく、増税の是非を問う選挙すらなく、毎週末の楽しみである釣りを危機にさらす増税には断固反対なのである。手取りの給与が減れば妻には確実にバレるので、乗船料が値上がりする以上に釣行の危機となる。だいたい、総選挙をすれば政権を失うことが決定している政党が、増税という民意に最も配慮しなくてはならないことを決めるのはおかしい。
20兆円くらいなら増税なんかせずに、日銀が刷っちゃえばいいのである。そうすれば為替は円安に振れるし、復興財源は捻出できるし、インフレターゲットの効果もあるんじゃない?
著者: へた釣り