口に入れた瞬間に訪れる旨みにむふふと変な声が漏れちゃうという経験は何度かあったし、へた釣りにとって最高の美味しさの表現だった。尺カイワリ刺しはむふふを超えた。一切れ口に入れたと同時に漏れた言葉は「まっ!」。「うまい」の「う」と「い」を発声するのももどかしいほどの旨さ。
釣行日当日に一番小さな25センチのカイワリの半身だけ食べた。こりぷりとした食感だけでなく、既に十分な脂の旨みが感じられる。夏のカイワリは豊富にエサを摂れているせいか、脂の乗りが抜群だ。あまりの旨さに「もう半身おかわり」と言いかけて、1日置いた方がさらに旨みが増すので我慢する。尺カイワリを食べるにあたって選んだお酒が森伊蔵。深場の勇者様からのいただきもので、美味しい魚が釣れたら開けようと決めていた。翌日飲む分(1.5合ほど)を別の瓶に移して、焼酎6に対してミネラルウォーター4で割っておく。冷蔵庫の一番冷える場所で1日寝かせる。魚と一緒で焼酎も寝かせると旨くなる。
釣行翌日がカイワリ刺しの美味しさのピークだと信じてる。この日に食べられるだけ食べる。プリプリとした食感(活かり)を残しながら、旨みが初日に比べ何倍にも増す。一口目に出たのが「まっ!」だった。お刺身で最強のカイワリの滅多に釣れない尺超え。最強のお刺身の味が上書きされた。前割りした森伊蔵はもともとまろやかな口当たりがさらに飲みやすさを増し、よく冷やしてあるのにふわっと香りが口の中に広がる。脂たっぷりの尺カイワリ刺しの旨みの余韻をリセットしてくれる力がある。尺カイワリ刺しと森伊蔵……レアすぎるし贅沢すぎる。森伊蔵を飲み切ってしまう前に良型狙いのカイワリングもう1回挑戦しようと決める。
著者: へた釣り