北海道でアキアジを釣ると、棍棒で頭を殴って殺す。北海道の師匠から暴れると針を外す時に危ないのでと説明されていたのだが……どうやら木の棒でアキアジや大型のマスを叩いて殺すという習慣……アイヌの儀式の継承であるようだ。アイヌの遺跡から鮭たたき棒が出土している。
いしかり博物誌に「石狩紅葉山49号遺跡から発見された世界最古の魚たたき棒?」という記事があり、「たんにサケ・マスを殺すという目的だけでなく、サケ・マスの霊を彼らの世界に送り、再びこの世に再生し豊漁をもたらすことを願う儀礼的な意味をもっている」と解説されている。北海道でアキアジを釣り上げると、そうすることが当たり前のように、浜にぶり上げたらすぐに木製の棒で頭を強く叩く。一発で死ななければ二発、三発。最初見たとき、野蛮と言うと言い過ぎだが、ワイルドすぎだろっ!
「アキアジは力が強いので、暴れると針を外す時危ないから殴って大人しくさせる」と説明された。アキアジの力が強いことは認めるが、同じようなサイズで力の強さも同じくらいと思われるカンパチやワラサを殴り殺したりはしない。北海道のローカルな習慣?と思っていたら、まさにアイヌ文化を内包する北海道ならではの習慣だった。鮭たたき棒は約4000年前の遺跡からも出土しており、江戸時代のものはまさに現代のサーモンバットとそっくりな形状になっている。郷に入っては郷に従え。アキアジを大漁したいのなら、アキアジの魂の再生を祈りながら。サーモンバットで素早く(できれば一撃で)殴り殺すのが正しい。
著者: へた釣り