釣りを始めて魚のことにそれなりに詳しくなったつもりだったが、トンデモない勘違いを残しているものである。関西でよく食べられるマナガツオと東京湾の水深250メートルで釣れたエチオピアことシマガツオを近似の魚だと思いこんでいた。味噌漬けにして食べてみて、あれ?違うと気付く。
大阪では照り焼きや味噌漬け、幽庵焼きなどにしてマナガツオという魚をよく食べる。切り身になっているものを買ってくることがほとんどだが、 銀灰白色の平べったい菱形の魚で目が口のすぐ近くにあるという外見をしていることを図鑑か何かで見たと思われ、うっすらと覚えていた。
そんな知識があったからクロムツは追試も0点で留年釣行で釣ったシマガツオを、形も名前も似ているし、同じ魚ではないにせよ、少なくとも近似種の魚なので味は似ているだろうと思っていた。食べ方もマナガツオ同様に味噌漬けや幽庵焼きなどが勧められいたので間違いないと思い込んでいたのだが……。
味噌漬けにして食べてみると、あれ?となる。不味いわけではない。身に甘みもあり脂も乗っているので十分に美味いのだが、淡白でほのかな甘みのある白身魚で焼いてもふっくらとした食感のマナガツオとは別物。シマガツオの方が身が締まった食感で味に野趣がある。調べてみると、シマガツオはマナガツオと体型が似ているためにそう名付けられただけで、近縁でもなんでもない魚だと知る。さらに、「西にサケなし、東にマナガツオなし」という諺があるように、関東ではマナガツオは釣れないそうだ。
著者: へた釣り