マゴチ以外も神経絞めしてみようと「神経絞めショート」という道具を買ったが、想像していた以上に使いやすかった。不器用、ビビり、イラチとこの手の作業に不向きな特性が三拍子そろったへた釣りでもなんとかなった。全部絞めようとはせずにできる範囲でと割り切るのが大事かな。
神経絞めを覚えると神経絞めしていない魚をお刺身で食べようという気がしなくなる。マゴチがそうだ。神経絞めしてないマゴチの身なんて普通の白身。神経絞めしてこそマゴチらしいプリプリの食感を味わえる。マゴチは大きい魚だし、数が釣れることはあまりないので落ちついて作業ができる。これがイサキやアジだと……うまく神経絞めが決まらずイライラするだけでかえって身を悪くするだけでなく釣果にも悪影響が出るという理由で道具はいくつか買ったが封印していた。
マゴチを絞めるのに使いなれたルミカの神経絞め具のショート版が発売されたので、もう一度神経絞めに挑戦してみようかなと思い立つ。ルミカの神経絞め具はエア抜きを兼用できるガイドが付いており、これを魚の額に刺すことで神経絞めのミスを減らすことができる。鼻から刺すとミスが多く(魚の側面からワイヤーが突き出たこともwww)、かといって首や尾を切ってだと面倒だ(揺れる船上で刃物を使う作業はなるべくなら避けたい)と感じていたのでこの方法ならともしかしてと考えた。神経絞め具としては使えなくてもエア抜き用の道具としてが使えるので無駄にはならないというのも購入を決めた理由である。
大正解だった。エア抜きのようなガイドを魚の額に刺す。このときイサキやアジの口がパカッと開いたら絞まった証拠。そこからもう少し奥に刺してみると魚の体が痙攣する。神経絞めができるポジションにガイドの先端が到達した証だ。ガイドからワイヤをゆっくり入れて行くとさして抵抗もなく入っていく。入っていくにつれて魚の体が痙攣する。尾の付け根あたりに達するとそれ以上は入らなくなるので神経絞め完了だ。両手を使う作業なので手順を追った写真を撮れてないが、難しくはない。普通の人には簡単なことでもできないことが多いへた釣りが難しくはないと書いているわけで、本当に難しくない。
イサキのお刺身がプリプリになった。もっと驚いたのはメジナのお刺身。メジナは伊豆の堤防などでよく釣るので食べ慣れている魚だが、今まで食べていた血抜きしただけのメジナの刺身とは全くの別物。あまりの美味しさに30センチくらいのメジナを丸々1匹、お刺身でペロリと平らげてしまった。ただ、神経絞めをノルマにすると辛くなることを知っている。できる範囲で、お刺身で食べたいサイズの物だけを神経絞めして持ち帰るようにしようと思っている。
著者: へた釣り