へた釣りは子供のようなとこがあるので、初めてやったことがうまくいくとすごく分かりやすく喜ぶ。カワハギのエア抜きもどこに刺そうか迷った挙句、肛門からズポッ。プシューといい音がして膨張した腹がしぼむ。魚をバケツに放してうまくいったとニヤニヤしていると周りの視線が……。
「へ…へた釣りさんって、そういう趣味があるんですね……」。言われてみれば、これから皮を剥いで食べることになる魚が相手とはいえ、肛門に針を突き立てて、にやにやしているのは変態的と言われても仕方がない? しかもこの日は♂ばかり釣れる。面白がって何度も抜き刺ししたものだから、肛門が赤く充血してしまっている。2匹目からは表情を変えずに外科医の気分で粛々とやろうと決めたのだが、肛門に針を突き刺しプシャーとお腹がしぼむとなんだかうれしくなってにやにやしてしまう。やっぱり俺は変態か?
船上で変態っぽいから止めた方がと言われた行為がもう1つある。マゴチの神経絞めだ。マゴチの眉間にナイフを刺し、その傷から神経絞めのワイヤーを入れていくと、マゴチの体がピクピクっと動く。このときのへた釣り、必ず「ふふふふふふふ」と悪人めいた無気味な笑い声をあげているらしいのである。ワイヤーを背骨に沿って入れていく作業に集中しているので目は笑ってないはず。真面目な顔してふふふふふふ……確かに変態だ。
変態話はやめてエア抜きに話を戻す。比較的浅い場所で釣ったカワハギは肛門に針を刺すことでうまくエア抜きができた。朝一に釣った物が沖上がりの時間まで無事生きていた。問題はもう少し深場から釣りあげたカワハギ。肛門から内臓の一部がはみ出してしまっている。この辺りが肛門だろうとあたりをつけて針を突き立てたのだが、何度刺し直してもうまくエア抜きができない。7、8カ所突き刺してもダメだった。どこを刺せばいいんだろう?
著者: へた釣り