美味かった。どう美味かったかを説明するのが困難なほどに美味い。本当に美味いものは右脳(=ゴースト)で美味い! その美味さを言葉に置き換えようにも左脳が追いつかない。胃袋のポン酢合えに始まり、刺身、鍋と続いたアラ尽くし。美味いと囁いたのよ、へた釣りのゴーストが。
キロ1万円の超高級魚だ、幻の魚だ、クエより美味いと、味のハードルを上げまくってしまったので、美味しく感じなかったらどうしようと恐れていたのだが、そんな心配は必要なかった。美味いと言われている魚はやっぱり美味い。釣った日から2日間、冷蔵庫で寝かせて味を熟成させて、いよいよ幻の魚と再会。骨が想像以上に硬く、おろすのに妻1号がちょっと苦戦していたようだが、こういう骨の硬い魚は中骨からいい出汁が出るので、鍋が楽しみ。
まずは前菜として、胃袋のポン酢合え。魚の胃袋が美味しいってことはオニカサゴで初めて知ったのだが、アラも胃袋が食えるってことは深海の魚は胃袋が厚いってことなんだろうか? 胃袋を裏返してきれいに汚れを取ってから、軽く湯通しして刻む。刻んだキュウリと一緒にポン酢で合える。ミミガーに似たコリコリとしたアラの胃袋の食感とキュウリのシャキシャキとした歯触りを楽しむ。酒のつまみとしても悪くない一皿。ただし、食感を楽しむ料理のため、オニカサゴの胃袋よりすごく美味かというと、よく分からない。
お次はお刺身。鍋用の身を確保したため、ちょっぴり量が少なくなってしまった。ワサビ醤油に負けない甘味を感じさせてくれる少し歯応えのある白身。皿に残り少なくなってくると、しまった! 鍋の身を減らしてもっとお刺身にしてもらえばよかった~という後悔が…後悔は名残惜しさに。なんていうのか、中毒性のある美味さ。クエのお刺身と比較できればいいのだろうが、クエの刺身を食べたのはもう3年も前のことなので、比較対象のクエの味を覚えてない。クエの味を覚えてないってことは、今現在の白身魚のお刺身No.1はアラってことだ。これまでお刺身No.1と紹介してきたカイワリとは味のベクトルが違うため、青魚のお刺身No.1はカイワリ、白身魚NO.1はアラってことに。統一王者決定戦の予定(両方釣れるってこと)はない。
そしてメインのアラ鍋。頭と中骨からしっかり出汁を煮出して、野菜投入。野菜が出汁を吸ってほどよく煮えたら、いよいよ荒く切った身を入れて食べる。アラの身は煮てもその甘さを失わずにホックリ煮あがった。身を口に運ぶと、何これ? この魚、鍋にされるために品種改良されてきたんじゃね?ってほどに鍋用の具材として最強の味。中でもアラのアラは最強すぎる。頭の周りの肉、腹骨に付いた肉は記憶にある煮魚で群を抜く美味さだった。オニカサゴのプリプリもいいが、アラのホックリの方が格上な感じ?
著者: へた釣り