釣りに行って本命が1匹も釣れないことを「ボウズ」または「オデコ」という。関ヶ原を境にお餅の形が長方形だったり丸だったりするように、東西で、あるいは地方によって、言い方が変わるのかと思ったが、日本全国で併用されている。本命が1匹上がったことを「目が開く」ということもある。
へた釣りが子供のころから親しんでいたのは「ボウズ」という言い方。祖父も父も「ボウズ」と言っていた。語源には諸説あり、「魚を釣って殺生しなかったからボウズ」というのが最もシンプルで分かりやすい。ほかにも「百人一首の坊主めくりで坊主の札をめくった者は持ち札を全部場に出してしまう」から、「魚に食い気がない→毛がない→ボウズ」など。「オデコ」の方も、坊主のオデコには毛がないからというのが語源らしい。目が開くというのは1匹目を釣ったときに言われることが多く。本命を1匹も釣っていない釣り人は、目も開いてない赤ん坊のようなものってことだろうか?
最も広く普及しているのはやはり「ボウズ」だろう。AV精密機器メーカー、タナシン電機が展開する釣具ブランドは「BOUZ」。魚の重量も測れるドラグチェッカーやPEラインを切断すると同時に焼きコブを作ってくれるアイデア商品の「ボウズ ラインカッターⅡ」、C3というルアーロッドのシリーズまで手掛けている「釣りを科学する」メーカーだ。
もう少し有名なところではささめ糸の「ボウズのがれ」という仕掛けのシリーズ。サビキのついでに下錘の上に根魚狙いのハリスを出してみたり、ブラクリと胴突き仕掛けを合体させてみたり、ちょい投げ仕掛けにフロートを足して、底から少し上までターゲットにしてみたりと、あの手この手で1匹だけでも釣ってやろうと、一工夫した仕掛けばかりだ。オマツリや根掛かりの危険性が高そうなので仕掛けが欲しいかといわれるとかなり微妙だが、下手な釣り人を自認しているへた釣りとしては「ボウズのがれステッカー」はちょっと欲しいかも。
著者: へた釣り