へた釣りは貧乏なので、都内で車を維持するだけのお金がない。師匠に連れて行ってもらう以外の釣行は電車&バスでってことになるのだが……やらかしちゃったという事件を何度かおこしたことがある。一番反省しているのはバス異臭事件。これだけはもう二度としないと猛省している。
遠征を除くとへた釣りの釣行は行動範囲が狭い。理由は簡単、電車で行って帰ってこれる範囲にしか行かないから。東なら浦安まで、南は馬堀海岸までが、朝の7時までに船宿や釣り場に到着できる限界だ。船釣りの場合は行動範囲が狭くても、まぁ、湾奥から同じポイントに出船する釣船があることが多いのでさして気にならないのだが……陸っぱりの釣りでは損してるなぁと思うことが多い。昔は終電で釣り場に行って、夜釣り→昼まで釣行なんてことをしていたのだが、仕事帰りで疲れていたり一杯飲んで上機嫌の客で混んでいる最終電車に釣り具一式を抱えて乗り込むことの迷惑さに気づいて自粛している。
電車釣行の利点は、車釣行の人たちが、駐車スペースがないからという理由で敬遠するポイントに入れることである。日本の鉄道は海沿いを走っていることが多いので、駅から海までの距離はそう遠くない。車が止められない小堤防は、意外と竿抜けしている(ルアーマン風に言うとプレッシャーが低い)ので、おいしい目に遭った記憶が多々ある。特に内房線にはそんなポイントがたくさんある。釣り場ガイドなどに載っているメジャーポイント近くの駐車スペースがない堤防はいい目に遭う確率が非常に高いのである。
そんなことを考えて、ポイントを選んでも外れることがある。場所移動をしたくなるのだが……電車釣行の悲しさで、大移動は難しい。でも、釣れる気配がない堤防で粘るのは限界だ。すぐ近くにバス停。バスの路線図を見ると、前日に地図を見て検討していたもう1つ有望ポイントの近くに行けることに気づく。荷物を片づけ、バッカンをビニール袋に密閉して(臭いという認識はあった)、バスに乗り込む。
バスは空いていて、釣り具一式を置く場所には困らなかったのだが、2つ目くらい停留所で乗ってきた親子連れの子供が「うわ、臭っ!」。母親は「我慢しなさい」と子をたしなめる。その瞬間、ほかの客の視線がへた釣りに突き刺さった。みんな我慢していたわけだ。申し訳ない!と反省するしかない。当然、次の停留所でバスから降りた。それ以降、釣り場の移動は徒歩で動ける範囲に限定している。
著者: へた釣り